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2011年08月23日
骨格筋はエンジンにたとえることができます。
すなわち、燃料にあたるATP(アデノシン三リン酸)の分解によって生じる化学的エネルギーを力学的エネルギーに変換する装置として考える事ができます。
エンジンとは異なり、筋肉の内部では筋線維が長軸方向に収縮しながら力発揮を行います。
骨格筋は随意的に収縮することができ(随意筋)、この点で内蔵の平滑筋や心筋(不随意筋)とは異なっています。
また、収縮のために特化した構造が整然と配置されており、
この構造も平滑筋や心筋とも異なりますが、収縮の分子機構は類似しています。
骨格筋の最大の機能は収縮して力を発揮することですが、このほかにも収縮時に発生する熱を通じて体温の産生源ともなっています。
また、収縮による内圧によって骨格筋内に張り巡らされた動静脈の系を変化させることを通じて、体内の血液循環にも寄与します(筋ポンプ作用)。
収縮によって分解されるATPの再合成のためのエネルギー基質(糖質、脂質)を外部から取り入れるほか、内部にも貯蔵します。
骨格筋内の筋線維(筋細胞)には大きく2つのタイプがあり、遅筋線維(Ⅰ型線維)と速筋線維(Ⅱ型線維)と呼ばれています。
遅筋線維は糖質および脂質の有酸素的な分解をATP再合成のためのエネルギー源とし、収縮速度は遅いが疲労耐性が高く、一方の速筋線維はATP再合成に主として糖質の無酸素的な分解を用い、収縮速度は速いが疲労しやすいなどの特徴があります。
人間の骨格筋の場合、両者が一定の割合でモザイク状に配列しており、その割合(筋線維組成)には個人差があります。
骨格筋の発揮する力は収縮時の筋長や収縮速度によって変化し、それぞれ、力−長さ関係、力−速度関係と呼ばれています。
骨格筋は骨に付着して関節を動かす(関節の回転力を発生する)ことを通じて身体運動の発生源となります。
通常、関節には複数の骨格筋が配置され、恊働筋と呼ばれ、恊働筋と拮抗筋によって関節運動が行われます。
人体の約600個の骨格筋はいずれも中枢神経によって収縮のタイミングや力や大きさ、収縮量が巧みにコントロールされているのです。
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