2011年08月23日 [記事URL]
何らかの理由によって身体活動が行われなくなった状態を不活動と言います。
我々、人間は日常生活において無意識に、1Gの重力環境下で立ったり歩いたりという身体活動を行っています。
宇宙飛行時に経験するような微小重力環境のシミュレーションとしては、人間に対してはベッドレスト(1日中、ベッドに横たわって生活する実験モデル)や関節固定が、実験動物に対しては尾部懸垂(後肢を地面に接触しないようにして飼育する実験モデル)のような不活動モデルが用いられてきています。
これらはいずれも骨格筋の萎縮や、それに伴った筋力の低下を生じさせ、筋萎縮や筋力低下の程度は特に抗重力において大きいとされています。
不活動によるもう1つの重要な変化として、ヒラメ筋のような遅筋型の筋においては速筋型ミオシン重鎖が増加することがあげられます。
その結果として筋線維組成にも変化が生じ、同時に収縮特性や代謝特性においても遅筋型から速筋型へ向かう移行が認められています。
2011年08月23日 [記事URL]
体力づくりのためであるトレーニングは、筋肥大や最大筋力の向上を目的としたレジスタンストレーニングと最大酸素摂取量や筋代謝能の向上を目的とした持久性トレーニングがあります。
一般に、短時間に強い筋力を発揮するレジスタンストレーニングでは特に速筋線維の肥大が生じ、長時間にわたって運動を持続する持久性トレーニングでは遅筋線維において毛細血管およびミトコンドリア密度の増加が著しいとされています。
しかし、筋の適応はトレーニング強度、持続時間、実施頻度などにも大きく依存するため、期待した通りのトレーニング効果を得るには、これらを適切に操作することが必要です。
また、いずれのトレーニングも筋の活動水準を高めるという点では共通しており、速筋線維のサブタイプ間において遅筋型への移行(Ⅱb型線維→Ⅱa型線維)が観察されています。
2011年08月23日 [記事URL]
筋が継続的な収縮活動を続けると、筋力が次第に低下し、収縮/弛緩速度も低下してしまいます。これを筋疲労(muscle fatigue)と言います。
筋疲労は、エネルギーが枯渇する以前に起こり、生命を維持するための防衛機能としての一面を持ちます。
筋疲労のメカニズムについては解明されていない点も多いですが、現時点では、筋収縮の直接のエネ ルギー源となるATPの供給が不足することだとされています。
さらにリン酸、ADP、乳酸(水素イオン)などの代謝副産物の蓄積、脱水などによる内部環境の失調、主要なATP供給源である筋グリコーゲンの枯渇などが主な原因と考えられています。
他にも、神経情報の伝達機能が低下することも筋疲労の要因となるとされており、また最近では脳における疲労が筋疲労に直接関与する可能性も考えられています。
筋疲労には、栄養補給によりエネルギー源の蓄積量を増やすことや、軽い運動や入浴などで血液の循環を良くして代謝副産物の除去を早めることなどが効果的であるとされています。
2011年08月23日 [記事URL]
筋萎縮(muscle atrophy)とは、筋の不使用、老化、ある種の神経筋疾患の結果として、筋が縮小することです。
筋は内的・外的環境変化に適応してそのサイズを変化させるが、筋萎縮の場合、廃用性萎縮、老化によるもの、神経筋疾患によるものに分けられています。
廃用性萎縮は長期の臥床、ギプス固定、無重量環境への曝露による筋ヘの力学的負荷の減少により起こります。
このとき遅筋線維が主に萎縮し、また筋線維サブタイプは速筋方向ヘシフトします。
老化では主に抗重力筋群が萎縮しますが、その中で主に速筋線維が萎縮、減少します。
神経筋疾患では筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症などがあります。
筋萎縮の研究で用いられる動物モデルとして、関節固定、尾部懸垂などによる除負荷、腱切除、除神経があります。
これらのモデルでは、筋重量減少、筋力低下と並行して筋線維の速筋化が起こります。
筋線維の萎縮にはタンパク質合成の低下と、タンパク質分解の克進が関わっています。
2011年08月23日 [記事URL]
ヒトの骨格筋量は一般に30歳前後でピークを迎え、その後は加齢とともに低下します。
これは筋線維の萎縮および筋線維数の減少によるものです。
加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)のメカニズムには、力学的ストレスや活性酸素種に対する抵抗力の低下、細胞損傷を修復する能力の低下、運動神経細胞のアポトーシスなどが関与していると考えられています。
一方で、高齢者の筋萎縮が特に抗重力筋において著しいこと、適切なトレーニングにより高齢者であっても筋肥大が起こることなどから、全身的な活動量の低下が筋萎縮を助長している可能性も示唆されています。
筋線維レベルでは、速筋線維の萎縮と数の減少が顕著であり、速筋線維の優先的な萎縮・脱落が行っていることが考えられます。
これらを防ぐには速筋線維を肥大させる効果の高いレジスタンストレーニングが有効だと考えられています。
2011年08月23日 [記事URL]
人間の身体の諸器官や組織が、環境に柔軟に適応して自らの性質を変化させる能力を可塑性と言います。
神経や骨格筋は極めて可塑性に富む器官と言えます。
骨格筋の可塑性(plasticity of skeletal muscle)を示す顕著な例として、運動及びトレーニングによる肥大(労作肥大)と不活動による萎縮(廃用性萎縮)があげられます。
こうした形態上の変化に加え、筋線維内部では、発現するタンパク質や代謝系酵素活性が著しく変化し、収縮速度や持久性が変化するなどの生理的な適応が起こります。
動物実験では、速筋線維(Ⅱ型線維)に長期的な電気刺激を加えると遅筋線維(Ⅰ型線維)へのタイプ変化が生じ、逆に除負荷や微小重力環境(宇宙飛行など)によって、Ⅰ型線維が萎縮するとともにⅡ型線維へと移行することが認められています。
人間では、こうした筋線維タイプ間の完全な移行は確認されておりませんが、図に示すように少なくともⅡ型線維の中でのサブタイプの移行が起こることが確認されています。
運動・トレーニングはその種類(エアロビック、レジスタンス)によらず、FT線維をより遅筋型に近いサブタイプヘとシフトさせ(例えばⅡb型からⅡa型へ)、基本的には筋持久力を増加させる方向へと変化します。
このとき、酸化系酵素活性の増大、ミトコンドリアの増加、ミオグロビン量の増加などが起こります。
筋線維サブタイプの変化は、筋のサイズなどの変化に先行して起こり、運動・トレーニングを開始してから、2週間ほどで現れるとされています。
2011年08月23日 [記事URL]
スポーツコーチング(sports coaching)とは「専門的指導の働きかけ」であり、日本では「スポーツ指導」などのように、「指導」という言葉で用い表されています。
この「指導(コーチング)」という言葉は、教えるのみならず、訓練する、統率(リード)するという意味も併せ持っています。
専門的指導とは、競技スポーツという運動文化の1つの運動形式を、優れた身体能力を有する者(競技選手)に対して「教え」、そして高度に「訓練」し、目標(例:金メダル獲得)へ向かうように「統率(リード)」することです。
このような専門的な「指導」という「働きかけ」によって、競技スポーツという運動文化は、その「働きかけ」の対象である競技選手の優れた身体能力を媒体として発展していくことができます。
専門的指導による競技選手の身体能力の高度化は、必然的に特殊化(専門化)へと帰着することになります。
2011年08月23日 [記事URL]
コーチ(Coach)とは、「教師」「トレーナー」「政治家」「リーダー」「戦術家」など多くの役割に例えられています。
コーチの語源は馬車で、そこから「目的地まで運ぶ」という意味が派生しました。
1800年代中頃、英国のオックスフォード大学の学生が個人的に雇った家庭教師のことをコーチと呼ぶようになりました。
その後、スポーツ指導者を意味する言葉として広まり、定着したそうです。
コーチの役割は、
① 勝利追求者としての役割。
② リーダーとしての役割。
③ 教育者としての役割。
④ スポーツの専門家としての役割。
⑤ 対外的役割。
と、以上にまとめられています。
コーチは単にスポーツを教えるだけでなく、多様な役割を果たすことも期待されています。
2011年08月23日 [記事URL]
呼吸筋(expiratory muscles)とは、呼吸をする際に関連する筋の総称です。
呼吸時における胸郭の拡大、収縮を行う筋肉のことになります。
内肋間筋(internal intercostal)は、肋間筋の内側にあり、前上方から後下方に肋間を斜行します。
収縮すると胸郭が沈み込み、胸腔の前後左右の径が縮小します。
このような呼吸を胸式呼吸と言います。
また、腹壁にある筋群が収縮すると、横隔膜が上方に押し出され、胸腔の上下の径も縮小します。
これを腹式呼吸と言います。
通常の呼吸は両者の合併した胸腹式呼吸でもあります。
2011年08月23日 [記事URL]
実際の運動場面で呼吸の能力の良し悪しが問われるのは、持久性の競技です。
したがって、呼吸筋トレーニング(respiratory muscle training)も持久性トレーニングの効果に焦点が当てらています。
骨格筋と同様に、持久性トレーニングによって横隔膜および酸化酵素活性の増加が生じます。
しかし、その増加の程度は、同じような筋線維組成を有する下肢筋と比較しても小さいです。
その理由は、横隔膜の活動時間が通常の状態で40%程度(約20分/1時間)に達し、他の骨格筋に比べて圧倒的に高く、すでにトレーニング状態であることになります。
実際、トレーニング前の横隔膜の酸化酵素活性は、十分に持久性トレーニングを積んだ後の脚筋と同等の値を示し、それは各筋線維タイプの酸化酵素活性が高いことに起因しています。
横隔膜以外の吸息筋も持久性トレーニングの効果が認められていますが、吸息筋に関しては不明な点も多いです。
このような酸化酵素活性の増大に代表されるような代表的トレーニングの効果は、理論的には脂肪の利用を促進し、グリコーゲンの分解を抑制し、高強度運動下での乳酸産生を遅延します。
しかし、実際に酸素摂取能力が改善するか否かは未解決なままです。
《 前 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 次 》
ボディコンサルティング
藤原豊樹
住所:〒157-0067
東京都世田谷区喜多見4-3-15
電話:03-5315-9477
Copyright© 2023 王道パーソナルトレーナー藤原豊樹 All Rights Reserved.