2016年09月03日 [記事URL]
遅発性筋肉痛(DOMS;delayed onset muscle soreness)とは、強い運動をした後や、慣れない運動をした後に生じる痛みです。
運動終了後、数時間経過してから発現し、24〜72時間後にピークに達し、1週間程度で回復します。
この痛みの原因は、筋線維あるいは筋線維の周囲や筋線維と腱とをつないでいる結合組織の損傷です。
主に伸張性収縮によって筋が損傷されることと、その修復をするための炎症反応が原因で筋肉痛が生じるとする損傷・炎症説が有力視されています。
ただし、遅発性筋肉痛の原因は未だ明確になっていません。
一般的に痛みは身体に対する危険を知らせているとされますが、遅発性筋肉痛が生じている筋に運動負荷を与えても悪化することはありません。
実際、遅発性筋肉痛が生じている筋肉の一部を採取して顕微鏡で観察すると、筋の微細構造や結合組織の損傷が観察されます。
しかしながら、一時的に筋肉痛が軽減することすらあるなど、危険を知らせているとは言えないない側面があるからです。
2016年03月19日 [記事URL]
運動が楽か辛いかの強度の境目、
ハァハァと呼吸が乱れるか乱れないかの分かれ目とも言えます。
運動強度を少しずつ上げていくと、呼吸する空気の量(換気量)が急激に増加するタイミングが現れます。
この時が換気性作業闘値(ventilatory threshold:VT)となります。
つまり、この値よりも低い場合は運動強度が弱い。
運動を長時間続けやすいことになります。
逆に高い場合は運動強度は強い。
したがって、運動を続けるのが難しいことになります。
VTよりも下か上かというのは、
実際を例にすれば会話ができるペースで走るジョギングと、
そうでない速さのランニングの違いに似ています。
VTを知ることによって、
心拍数よりも精度の高いトレーニングを行いやすくなります。
2014年02月24日 [記事URL]
筋肉を動かすたびに血管(小血管、毛細血管)から、血液供給が行なわれています。
動くごとに筋肉が収縮すると、筋内圧が高くなります。
それで筋繊維間を走行する血管が圧迫されて、動脈内の血液は静脈側に絞り出されます。
この絞り作用が「筋ポンプ」と言われています。
この筋ポンプ作用の効果は、心臓への血液還流量を増加させ、それにより心拍出量を増やす要因となります。
そして、筋肉を挟む動脈と静脈の圧勾配を拡大し、動脈血流入を促進します。
主に2つのことによって、心臓への血液還流が効果的に行ない、血液循環システムの活性化に貢献しています。
また筋ポンプは心臓より下の方にある部位の血液が溜まるのを防ぎます。
心臓へ血液を戻すことにより血液循環を促進する重要な働きになります。
近年この筋ポンプ作用を助けるものとして、コンプレッションウェアがあります。
コンプレッションウェアを身につけることによって、絞り作用が強まり、心臓に向かって血液が送り込まれやすくなります。
とくに長時間の座ったままでの移動の時などで、下半身にコンプレッションウェアを身に着けるのは、血液が下肢に溜まってむくみ(浮腫)も防ぐためでもあります。
2011年11月20日 [記事URL]
クロストレーニングという用語は1990年代初めから使われ始め、「専門とするスポーツの競技成績を向上させるために行う専門以外のスポーツや運動」と定義されています。
つまり筋力、筋持久力、全身持久力、柔軟性など多くの体力・運動能力を向上させることによって、専門とするスポーツのパフォーマンスの向上を狙ったトレーニングで、複合トレーニングと同義に捉えられることもあります。
また体力・運動能力の直接的な向上だけでなく、オーバーユースによる障害の発生を予防したり、受傷後のリハビリテーションとしての役割も果たします。
またクロストレーニングを取り入れることによって、専門種目のみのトレーニングを行うことによる心理的なマンネリ化やプラトー(定常状態)を打破し、高いモチベーションを維持することが可能です。
2011年11月20日 [記事URL]
運動能力やスポーツパフォーマンスの良否に影響する要因は、先天的なものと後天的なものに大別されます。
先天的要因(inherent factors)は主に遺伝的・生得的要因(素質)など、後天的要因(learned factors)は環境的要因(社会的、経済的、文化的などの条件)などです。
身長の高さや筋肉の質(速筋線維や遅筋線維の割合など)は前者であり、恵まれたトレーニング環境、適切なトレーニングの実施、トレーニングヘの動機づけなどは後者にあたります。
例えば、優れたスプリンターになるための条件として、速筋線維の比率が高いことは非常に有利ですが、それだけでは不十分です。
適切な指導を受けながら、効果的なトレーニングを行い、競技に対する向上心を持続させる条件が整わなければ、優れた成績を上げることは難しいと言えます。
2011年11月20日 [記事URL]
スポーツトレーニングにおける個別性の原則とは、
個人の特性に応じてトレーニングプログラムを変化させなければならないという原則です。
トレーニングは目的、目標、課題、段階、経験、性、外的環境等は個人ごとに異なり、
同一トレーニング刺激に対する適応にも個人差が生じます。
達成度評価をもとに個人ごとに課題を抽出し、
トレーニング手段や負荷(強度・量・頻度)を選択していくことが極めて重要です。
単に成功者の方法をそのまま他者に適用したとしても、その効果は保証されません。
とくにシニアや上級者用に立案されたプログラムを、ジュニアや初心者に適用することは危険です。
また子どもの成長速度は個人差が大きく、年齢のみをもとにしたトレーニング処方にも注意しなければなりません。
集団のトレーニングを扱う場合には、全体をできるだけ等質な部分集団に分ける工夫が不可欠です。
2011年11月20日 [記事URL]
スポーツトレーニングにおける期分けの原則とは、
主要な競技大会やトレーニング課題に対して的確にピーキングするために、
年間のトレーニングプログラムを管理しやすい一定期間の区切りに分割するという原則です。
スポーツトレーニングにおける競技力状態は、
「形成ー維持ー消失」を循環しながら周期的に発達するため、
それぞれに対応して準備期、試合期、移行期に区分します。
周期は年間に主要な大会が1回あるモノサイクル(12ヶ月周期)を基本とし、
2つの個別な試合期があればバイサイクル(6ヶ月周期)、
多くの試合期があればトライサイクル(3〜4ヶ月周期)となります。
準備期はさらに一般的準備期(2〜5ヶ月)と専門的準備期(15〜25ヶ月)に分類されます。
試合期は高められた競技力状態を維持し、最高の競技成績へ結びつける期間です。
移行期は試合期におけるストレスからの解放が課題になります。
2011年11月20日 [記事URL]
クーリングダウンとは、運動・スポーツ終了後に、心身の疲労からの早期回復と、障害因子を残存させないことを目的として行う整理運動です。
トレーニングまたは試合終了直後に、蓄積された乳酸を筋および血液からすみやかに除去する目的で行なう運動過程です。
クールダウン(cool down)、あるいはウォームダウンとも呼ばれて同義語です。
クーリングダウン(cooling down)はウォーミングアップに比べて軽視されがちです。
しかし、運動によって生じた身体的・ 精神的疲労からの速やかな回復だけでなく、スポーツ傷害の予防や心身のコンディション調整の観点からも積極的に行う必要があります。
主な内容としては筋肉への血液循環を促す軽いランニング、重力負荷から解放される水泳、ストレッチングといった能動的なものが一般的です。
またアイシング(冷水浴)、マッサージなどの受動的なものを併用することも多いです。
これらを効果的に組み合わせることによって、高強度のトレーニング後に起こる心身の緊張の汎化を防ぎ、酸素負債の償却も促進されます。
とくに激しい運動でこそ乳酸が溜まりやすく、クーリングダウンによって筋肉中の乳酸の除去が早まるなど、疲労の回復に有効とされています。
2011年11月20日 [記事URL]
技術トレーニングとは、各運動・スポーツ種目特有の運動技術の習得や改善を目指します。
技術トレーニングを計画する場合には、運動学習に関する様々な知見が利用されています。
しかし現在のところ、体力トレーニングの領域に見られるような、種目横断的に利用可能な科学的に検証されたトレーニング法は確立されていません。
そのため技術トレーニングの成否は指導者の経験や能力に左右されます。
技術トレーニングは、
トレーニング目標の違いに従い以下のように細分化されます。
① 非循環運動の改善を目指す技術トレーニング。
② 循環運動の改善を目指す技術トレーニング。
③ 標準化された状況下で多数の異なった非循環運動や運動組合せの改善を目指す技術トレーニング。
④ 異なる状況下で多数の異なった非循環運動や運動組合せの改善を目指す技術トレーニング。
2011年11月20日 [記事URL]
体育学では9歳から12歳頃が運動・スポーツ技術の習得には、最も適した時期であるとされています。
この時期の子どもをゴールデンエイジと呼んでいます。
神経系が成人の90〜95%程度にまで発達し、
あらゆる物事を短時間で素早く把握することのできる「即座の習得」が可能な時期です。
また、この時期は神経系の完成に近づくとはいえ、
その可塑性は残されており、習得した技術は定着しやすいのです。
そのため、この時期に様々な運動種目を経験することが、
将来的なカラダづくりへの礎を築くことになります。
国内の体育・スポーツ関係機関では、
このゴールデンエイジである運動学習最適期を重要視しています。
将来のトップアスリートの育成に、
未来を見据えた低年齢期からの一貫した計画的なトレーニングプランを立案して実践しています。
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